男性側の不妊原因 その1.造精機能障害の診断方法と治療方法

2019年1月31日

赤ちゃんが欲しいと思ったとき、不妊治療と聞くと女性のイメージを持つ方が多いですが、実は不妊治療において男性側と女性側の原因の割合はあまり変わりません。
男性側の不妊では、精子の数が少ない、動きが悪いという精子を作り出す機能に原因があることがあります。
受精するためには、十分な数の精子がいて、元気な精子が多いことが条件となります。
それがクリアされない場合を造精機能障害といいます。
造精機能障害に対する診断方法や治療方法はどういうものなのかを見てみましょう。

精液検査で精子の数や運動性をチェックする

男性側の原因はいろいろありますが、男性にとって重要となってくるのは、十分な数の精子がいて、しかも元気な精子が多いかどうかです。
これを調べるには、精液検査で主に精子の数、運動性(動き)、奇形率をチェックします。
その結果に基づき、下の表のように4つに分類されます。
ただし、精液検査はその日の男性の体調に左右されやすいので、もし結果が悪い場合でも、1回では判断せず再検査をします。

分類名 症状
無精子症 精液中に1匹も精子がいない状態。
乏精子症 精子の数が少ない状態
精子無力症 精子の動き(運動性)が悪い状態。
精子奇形症 奇形の精子が多い状態。

無精子症の場合は、泌尿器科での診察や検査が必要になります(男性不妊に力を入れている病院では、そのまま診察・検査が可能)。
そこで、染色体異常によって無精子症になっているのか、そうでないのかを区別します。
染色体異常ではない無精子症の場合は、次のふたつを区別するため、さらにくわしい検査をします。

1.精子が精巣(睾丸)でつくられているのに、その輸送経路である精管に原因があって無精子症になっている(精管通過障害)。

2.もともと精巣で精子がほとんどつくられていない。

検査は、精巣生検や精管精嚢造影検査を行います。その結果、1であるなら精管通過障害の治療が必要です。

無精子症でも精巣に精子がいれば顕微授精で妊娠可能

先ほど提示した2であった場合、つまり精巣で精子がほとんどつくられていない場合には、精子が精巣に1匹でもいれば治療は可能です。
顕微授精という方法があるからです。
また最近は、完成した精子がなくても、その一歩手前の状態の精子(後期精子細胞)があれば、それで顕微授精をすることが可能です。
しかし、精子が精巣に1匹もいない場合は、残念ではありますが実子以外の道(非配偶者間人工授精など)を探ることになります。

「染色体異常」によって造精機能障害になっていることもある

造精機能障害の原因のひとつとして、染色体異常があります。
たとえば、染色体の数が1本多いクラインフェルター症候群という病気があります。
この病気の特徴は男性ホルモンの分泌が少なく、精巣が小さかったり、乳房が女性のように大きくなったりしますが、精巣が小さいため無精子症や乏精子症などの造精機能障害が起こります。
このような染色体異常がある場合でも、精子がいれば治療は可能です。
精子の数が少なければ人工授精や顕微授精を行います。無精子症でも精子が精巣に1匹でもいるなら、顕微授精が可能です。
ただし、男子だと父親の遺伝子を受け継ぎ、染色体異常をもって生まれる可能性があります。
その可能性はクラインフェルター症候群で1%程度といわれていますが、実際には専門医によく相談する必要があります。

軽い乏精子症や精子無力症、精子奇形症は、薬で精子の活性化を図る

軽い乏精子症や精子無力症、精子奇形症の場合は、薬によって精子を活性化、つまり元気にすることが可能です。
たとえば、ユベラ(ビタミンE剤)、メチコバール(ビタミンB12剤)、カリクレイン(末梢血管の流れをよくする薬)、漢方薬の補中益気湯(ほちゅうえっきとう)などが使われます。
一方、薬だけでは改善しないと思われる乏精子症や精子無力症、精子奇形症の場合は、泌尿器科での詳しい診察・検査が必要になります。
泌尿器科では、精索静脈瘤、逆行性射精、染色体異常などの原因疾患の有無をチェックしますが、原因不明ということもあります。

精巣の機能を低下させる「精索静脈瘤」

精索静脈瘤とは、精巣から伸びている静脈がこぶ状に膨らんでそこに血液がたまり、やがて精巣に逆流してしまう病気です。
本来は、静脈には弁がついて、血液がスムーズに流れるように、また逆流しないようになっていますが、精索静脈瘤ではこの弁の機能が壊れてしまいます。
精索静脈瘤が大きくなると、陰嚢の表面から見てもこぶ状のものがわかるようになり、自分でも気づくほどです。
精索静脈瘤があると、精巣機能は低下します。
これは逆流した血液によって精巣内の温度が高くなったり、酸素量が低下したりするからです。
そのため、精子の数が少なかったり、動きが悪くなってしまったりします。
精巣自体が小さくなってしまうこともあります。
治療は、静脈瘤の部分を縛ってしまう手術をします。
これにより精巣機能はだいぶ回復します。
しかし、手術で完治が望めない場合は、人工授精(AIH)や顕微授精が行われます。

ストレスや内科的疾患などにより造精機能が低下することもある

造精機能障害の原因は、泌尿器の病気や染色体異常だけではありません。
ストレスや内科的疾患、先天的な男性器形態異常、環境因子なども造精機能を低下させます。
まず1つ目の原因で挙げられる、ストレス
生きている以上、多少のストレスは避けられませんが、強いストレスがあると、造精機能にも影響があります。
この場合は、薬治療のほか、心のケア(精神療法)も必要になります。
2つ目の内科的疾患ですが、これは糖尿病、高血圧、高尿酸血症(痛風)、肝臓病、動脈硬化などを指します。
このような病気がある場合は、元となる病気を治療することが第一になります。
そのうえで、不妊治療(精子を活性化させる薬、人工授精、体外受精、顕微授精など)を行います。
3つ目の先天的な男性器形態異常というのは、精巣が小さいなどの異常で、状態や程度に合わせて泌尿器科で治療します。
4つ目の環境因子は、タバコや化学物質、環境ホルモンなどの影響のことです。タバコは控えるのが賢明です。

男性不妊で悩んだらまずは相談

不妊治療は、決して女性だけでなく男性にも大きく関わる問題です。
不妊治療のためのクリニックに行こうにも足取りが重いこともあるでしょう。
そのときは、電話でカウンセリングをおこなっているクリニックや遠隔診療を積極的に取り入れている病院もあります。
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Posted by 東京 銀座 不妊治療 婦人科 女医|はるねクリニック銀座 / 院長ブログ