女性側の不妊原因 その6.機能性不妊の診断方法と治療方法

2019年1月25日

これまでにお伝えした不妊治療の検査を一通り行い、それでも原因が分からない人のおおよそ10人に1人は「機能性不妊」にあてはまるとされています。
検査を受けたカップルにとって、赤ちゃんができない原因が分からないことは、とても不安なことだと思います。
今回は、「機能性不妊」について詳しくお話していきましょう。

まずは一般不妊治療を行い、妊娠を目指す

不妊検査をひととおり行った結果、夫婦のどちらにも不妊原因が見当たらない場合があります。
そのようなときは、タイミング指導を行います。
はるねクリニックの場合、妊娠に対する女性年齢が大きく関係するという考えのもと、35歳未満は3~5回程度、35~40歳未満は2~4回程度、40歳以上は1~3回を目安に次の不妊治療のステップへ進むことを提案しています。
その後妊娠率を上げるため、人工授精を行なったり、排卵誘発剤などを使ってみたりします。
しかし、それでもなかなか妊娠しない場合に機能性不妊と診断されます。

機能性不妊の診断技術を高めるために、腹腔鏡検査や子宮鏡、抗精子抗体検査、ハムスターテストなどの特殊検査を取り入れることがあります。
ハムスターテストとは、ハムスターの卵子に人の精子が侵入していくかどうかを調べる検査です。
この時、受精能力の準備が整った精子を使用することで、精子のもつ受精能の有無を見ていきます。
機能性不妊の治療には、より深く原因を追究する努力が必要となります。

検査と並行してタイミング指導などの一般不妊治療を続けているうちに、ひょこっと妊娠する人もいるのですが、1~2年ほど行っても妊娠に結びつかない場合は、体外受精顕微授精などの高度医療へ進みます。
女性の年齢に余裕がない場合は、もっと早い時期に高度医療への移行をすすめられます。

体外受精の段階で、思わぬ原因が判明することもある

体外受精を行ったところ、卵子の周囲にある透明帯が硬かったり、特別な抗体があるため精子が中に入れなかったりなど、思わぬ不妊原因が見つかることがあります。
また、採卵のときに状態のよい卵子があまり取れず、受精卵がなかなかできなかったり、受精卵ができてもその後の細胞分裂がうまくいかなかったりすることもあります。
これは、主に加齢によるものです。加齢の影響が予想より早くきていて、機能性不妊になっていたということがあります。
このように、体外受精を行って初めて不妊原因がわかったというケースもあるので、「どこも悪くないのだから、体外受精までは必要ない」と一般不妊治療にずっと踏みとどまっているのは、あまり得策とはいえません。

世の中の機能性不妊への対応

機能性不妊については、さまざまな研究結果が分かってきています。
現在分かっている不妊の原因で、男性不妊は32.7%、卵管因子は20.5%、卵巣因子は20.5%、子宮因子は17.6%、免疫因子が5.2%、残りの3.5%が原因不明になります。
数は少ないと感じるかもしれませんが、不妊治療を行いたいとクリニックへ受診したカップルのうち、10~30%が機能性不妊に当てはまります。

2016年に行われたSystematic review(システマティック・レビュー。文献をくまなく調べ、データの偏りを限りなくなくして分析を行う調査方法のこと)によって、原因不明の不妊に対する方法として、次の結果が出ました。

不妊治療の際に使われるクロミフェン(脳下垂体に作用する排卵誘発剤のひとつ)を使ったタイミング指導や人工授精は、自然妊娠のような高い妊娠率が期待されることが分かりました。
また、レトロゾール(内分泌療法薬のひとつ)よりもクロミフェンを使って複数の卵胞を刺激し発育させた方が、妊娠率が高まりました。
さらに、多胎妊娠のリスクは高くなってしまいますがゴナドトロピン(直接卵巣へ作用する排卵誘発剤のひとつ)の方がより妊娠率が高くなるという論文結果が多いことが分かりました。(1

原因不明の不妊について、医師や医療機関が日夜研究を進めていますが、まだ未解明なことが多いため、最新情報が入り次第、皆さんにお伝えできればと思います。
クリニックへ訪れた人の中には、体外受精を行えば必ず妊娠すると思っている方がいらっしゃいますが、決してそうではありません。
私たちは、正確な知識を来院された方へ一人ひとりお話しております。

不妊治療に取り組むうえで、女性や男性にとって不安やストレスが多くあります。
一般的な治療の流れとしては、検査をしつつタイミング指導、人工授精、体外受精などの高度医療へとステップアップしていきます。

その際に、疑問に思うことや不安に感じていることがあれば溜め込まずに医師やカウンセラーに相談すると良いでしょう。
また不妊治療への相談セミナーに参加することで同じ悩みを抱える人に自分の胸のうちを打ち明けることも出来ます。
治療には長期的な対策が多いため、無理をせずに治療と向き合うことが大切です。

参考先:
1.公益社団法人 日本産婦人科医会, 不妊症の定義・分類・治療法, http://www.jaog.or.jp/lecture/2-不妊症の定義・分類・治療法


Posted by 東京 銀座 不妊治療 婦人科 女医|はるねクリニック銀座 / 院長ブログ