女性側の不妊原因 その4.子宮頚管の通過障害の診断方法と治療方法

2018年12月28日

タイミング指導のもと、性交を行うがなかなか妊娠できない原因のひとつに子宮頸管の通過障害があります。
子宮頸管は精子の通過点であり、その先にある子宮、卵管を通って卵を目指して進んでいきます。
このとき、入り口である子宮で精子がブロックされてしまうことで、なかなか妊娠ができないことがあります。
今回は、子宮頸管の通過障害の診断方法や症状に合わせた治療方法をみていきましょう。

ヒューナーテストの精子通過チェックで診断可能

子宮頸管の通過障害があるかないかは、頸管粘液検査やヒューナーテストによってわかります。

頸管粘液検査とは、排卵時における頸管粘液がどのくらい増えたのかを確認します。
頸管粘液を針のついていない注射器で採取し、量や透明度をチェックして正常に分泌されているかどうかをみます。

ヒューナーテストとは、性交直後の膣内粘液、頸管粘液、子宮内液を採取し、それを顕微鏡で観察します。
元気な精子が子宮内にどのくらい進入できているかを調べます。
検査日の朝にセックスをし、病院へ行って検査を受けます。

粘液が十分に分泌されていて、精子の数や運動性に問題が無いにも関わらず、ヒューナーテストの結果がよくない頸管粘液に特殊な抗体(抗精子抗体)がある可能性があります。
精子は本来、異物ではないですが、長い間に精子を抗原と認識して女性の体の中に抗体が出来てしまい、それが精子の動きを妨げます。
そのため、精子が子宮頸管を通過しづらくなります。
抗体があるかないかは、血液検査をして抗精子抗体を調べます。

通過障害に関わる症状

精子が子宮頸管を通れずシャットアウトされることで、受精が行えず不妊となることがあります。
子宮頸管は子宮の入り口で、精子はそこを通過して子宮や卵管へ入ります。
子宮頸管の通過障害があると、精子は前へ進めなくなります。それには2つの症状がかかわります。

1.頸管粘液不全
子宮頸管は子宮と膣の間に存在する関門のような部位です。
普段は、子宮に細菌などが入らないような働きをする物質を分泌しています。
そして、排卵日ごろになると、頸管粘液という粘り気のある分泌物を盛んに分泌し始めます。
これは精子の通過を助ける役目をする分泌物です。
ところが、頸管粘液の分泌が十分でない場合があり、これを頸管粘液不全といいます。

頸管粘液不全は、卵胞ホルモンの分泌障害や子宮頸管炎、男性の精子膿症などが原因で起ります。
精子膿症とは、男性側の病気で精液中に細菌がいて白血球が増えていきます。
尿道炎や前立腺炎などが原因で起こります。
この症状によって、女性の子宮頸管炎を引き起こすほか、自身の精子を弱めたり、殺してしまったりすることがあります。
元になる炎症を治療すれば、精子膿症も治ります。

卵胞ホルモンの分泌障害がある場合は、プレマリンなどの卵胞ホルモン剤を使い、ホルモン分泌を促します。
一方、子宮頸管炎や精子膿症などがあると、子宮頸管の粘液を分泌する組織が損傷され、分泌に支障が出ます。
これらに対しては抗生物質を使い、原因の元である子宮頸管炎や精子膿症を治療するのが第一です。
治療によって頸管粘液不全が改善しない場合は、人工授精が必要になります。

その後、治療の様子を見ながらタイミング指導を行っていきます。

2.抗精子抗体
精子を女性の体が異物と認知した場合、体内では免疫反応として抗体が産出されるようになります。
本来であれば、抗体の力が弱まり受け入れる状態になります(寛容現象)。
ですが、一部の人においては体内に入ると、精子自体の動きを悪くしたり、子宮頸管で精子をブロックしてしまったりします。

人によりさまざまな程度があり、軽い場合では特に治療をしなくても、性交のタイミング指導で妊娠が可能です。
ただ、精子が頻繁に膣内に入ることにより対抗する抗体の力が強くなることもあるので、排卵日以外にセックスするときにはコンドームをつけることがすすめられます。

抗体の程度が強い場合や、弱くてもなかなか妊娠しない場合は、人工授精を行います。
そして、人工授精を繰り返してもなかなか妊娠しない場合は、体外受精や顕微授精へ進みます。

抗体の程度が非常に強い場合は、人工授精を繰り返しても妊娠する可能性が低いので、最初から体外受精を検討します。

子宮頸管の通過障害は、分かりやすい自覚症状がないので治療が遅れることもあります。
赤ちゃんを授かりたいと思ったときに、頸管粘液検査やヒューナーテストだけでも調べておくことをオススメします。

子宮頸管の通過障害で頸管粘液不全の場合には、女性だけでなく男性の検査もあります。
お互いの予定を合わせて診察することでより医師とご夫婦の3人で今後の治療方針を相談することができます。
タイミング指導を行うもなかなか妊娠できず、年齢的に余裕がない場合には、体外受精や顕微授精について真摯にお話していきます。
不安なことがあればいつでも相談にきてくださいね。


Posted by 東京 銀座 不妊治療 婦人科 女医|はるねクリニック銀座 / 院長ブログ