女性側の不妊原因 その3.着床障害の診断方法と治療方法

2018年12月14日

受精卵が子宮内膜に根を張ることを着床といいます。
しかし、なんらかの原因によって着床がうまくいかないことがあり、これを着床障害といいます。
着床障害にはさまざまな原因が関連しています。
今回は、着床障害に関連する病気ごとの治療方法についてみていきましょう。

着床障害にはさまざまな原因が付きまとう

妊娠のプロセスの最終段階で妊娠を妨げる原因は、たくさんあります。
子宮筋腫や子宮内膜ポリープのように着床をじゃまするもの、子宮奇形や子宮発育不全のように子宮の形に問題があるもの、内膜自体に問題があるものなどです。

着床障害の診断方法として、内診やホルモン検査、子宮鏡検査、子宮卵管造影検査、超音波検査などいくつかの検査を行います。

1.子宮筋腫

子宮筋腫とは子宮体部の筋層にできる良性腫瘍のことをいい、受精卵の移動や着床をじゃますることがあります。
20~ 40代にみられる病気です。
子宮筋腫ができた場所や大きさなどによって、着床への影響は違います。

【治療】
子宮筋腫の状態に合わせて治療を行います。
直径4~5cm以下の筋層内筋腫や漿膜下筋腫であれば、着床に対する影響も小さいので、特に治療せずに様子をみます。
逆に粘膜下筋腫や大きな筋腫の場合は、薬物療法や手術が行われます。
薬物療法は、生理を止める薬を用います。治療に時間がかかるので、年齢的に余裕がある人に対する治療です。
一方、年齢に余裕がない人の場合などでは、手術で筋腫を切除します。
筋腫核出術という方法で行い、子宮を温存し、筋腫だけを切除します。
膣から子宮鏡を入れ、内視鏡で筋腫をとり除きます(TCR)。

2.子宮腺筋症

子宮腺筋症は、子宮内膜症の一種で子宮の筋層に入り込んだ内膜が生理のたびにそこで増殖とはく離を繰り返す病気です。
月日がたつうちに、その部分がはれてきて分厚くなり、子宮筋腫同様、受精卵の着床をじゃまするようになります。

【治療】
ほかの部位でできた子宮内膜症と同様に主に薬物療法が行われます。

3.子宮内ポリープ

子宮内膜が部分的に増殖してできた小さなポリープを子宮内膜ポリープといいます。
良性ですが、できる場所や数によっては受精卵の着床をじゃますることがあります。

【治療】
切除は比較的簡単で子宮鏡検査で発見されますので、その場で切除したり、捻除したり(ねじりとること)します。ポリープの数が多いときは、子宮内膜をそっくりかき出す処置(そうは)を行います。

4.子宮内膜癒着

癒着を起こす原因としては、クラミジア感染症などの性感染症による子宮内膜炎が多いですが、妊娠中絶によるそうは術によって内膜に炎症を起してしまうこともあります。
治療
癒着の程度によりますがひどい場合は、癒着はく離術や抗生物質投与を行います。
軽い場合は、治療せずに様子をみます。

5.子宮奇形

生まれつき子宮が変わった形をしている場合を子宮奇形といいます。
程度が軽いものは自然妊娠が可能ですが、形や程度によっては受精卵が着床しにくかったり、流・早産を招きやすかったりすることがあります。

【治療】
不妊期間や奇形の種類を考慮のうえ、手術(子宮形成術)を行います。
程度が軽いのであれば、治療せずに経過観察します。

6.子宮発育不全

子宮の発育が未熟で、小さいものを子宮発育不全といいます。
大きさだけでなく、機能も未熟なため、妊娠しづらい状態になります。

【治療】
薬物療法としてカウフマン療法のほか、ピルやhMG製剤を行います。

7.黄体機能不全

本来、排卵後に分泌される黄体ホルモンの影響によって内膜を厚くフカフカの状態に整えます。
ところが、黄体ホルモンの分泌が不十分で、子宮内膜が厚くならないことがあり、これを黄体機能不全といいます。

【治療】
黄体機能不全は、高温相が短いことからおおよその診断ができますが、さらに詳しい検査をして確定します。
その結果、黄体ホルモン値が10ng/ml未満の場合は、黄体ホルモン剤などを投与して治療します。

8.子宮内膜増殖症

子宮内膜が必要以上に厚くなってしまうのが子宮内膜増殖症です。厚いのは古い層が多いからで、そこには十分な血液が流れていません。
そのため受精卵が着床しにくくなります。加齢とともに起こりますが、脂肪の多い食生活や肥満なども関係してきます。
また、子宮内膜増殖症は放置しておくと、子宮体ガンの危険因子になることがあり、要注意です。

【治療】
不正出血をともなう子宮内増殖症の場合は、子宮ガンの検査をした上で、そうは術で子宮内膜をかき出します。
不正出血をともなわない場合は、6ヶ月以上経過をみて、子宮内膜がどんどん厚くなるようなら、細胞診とそうは術を行います。

9.子宮内膜が薄いと受精卵が着床できない

子宮内膜は排卵後に増殖して厚くなり、受精卵が着床しやすい状態になります。
しかし、子宮内膜が薄いままのことがあり、これでは受精卵が着床できません。

【治療】
卵胞ホルモンの不足あるいは子宮内の炎症や妊娠中絶などで行ったそうは術の影響などの場合、ホルモン剤や抗生物質を使いながら、タイミング指導を行います。

10.子宮体ガン

子宮体ガンは閉経の50~60代の女性に多い病気ですが、20~40代の女性がかかることもあります。
そのため、不妊検査の際に見つかるケースがあります。

【治療】
ごく初期のものであれば、そうは術でガンを子宮内膜ごとかき出した上で化学療法や黄体ホルモン療法などを行い、そのあとで妊娠にトライするという道もないわけではありません。
しかし基本的には、ガンの転移を防ぐためにも子宮の全摘出が必要です。
残念ながら妊娠はできなくなりますが、命と秤にかけるわけにはいきません。
つらい選択ですが、実子以外の道などを探ることになります。

いずれの症状でも治療の様子を見ながら、タイミング指導などへ移行することが可能です。
ただ、治療には時間や費用、年齢が大きく関わってきます。
状況によっては、体外受精をすすめることもひとつの選択肢であります。

着床障害の場合、女性にとって大きな負担がかかります。治療の際は私たち医師やスタッフがサポートいたしますが、ご主人の協力は必要不可欠です。
些細な不安でもウヤムヤにせず、私たちに打ち明けてくださいね。


Posted by 東京 銀座 不妊治療 婦人科 女医|はるねクリニック銀座 / 院長ブログ