女性側の不妊原因 その1.排卵障害の診断方法と治療方法

2018年11月23日

不妊の原因にはさまざまなものがあり、検査をしてはじめて原因が分かることがあります。その内、排卵障害は不妊原因の約25%を占めるといわれています。
排卵障害は卵子が卵巣内で育たない、育ったとしても卵巣の外に飛び出さないといった状態です。
排卵障害の原因や診断方法、治療方法について見ていきましょう。

基礎体温表が二相性になっていないときは要注意

排卵前は低温相、排卵後は高温相という二相性になるのが正常な基礎体温です。

もし二相性になっていない場合は排卵がうまくいっていない可能性があり、くわしい検査(経膣超音波検査、ホルモン検査)が必要です。
一方、二相性になっている場合は排卵がうまくいっている可能性が高いのですが、二相性でも実は排卵されていなかった、排卵していても卵が成熟してないということがときにはあります。
そのため、くわしい検査が同様に行われます。

そもそもなぜ排卵障害は起こるの?

排卵障害はさまざまな原因が関係します。排卵をコントロールしている中枢機能の異常で起こることもあれば、卵巣そのものの異常、男性ホルモンの分泌過剰、黄体機能の異常などによって起こることもあります。

具体的な病名としては、主に次の6つがあげられます。それぞれの病状について簡潔に書いていますが、より詳しく知りたい人は、「赤ちゃんが欲しい人の本」を読んでみてくださいね。

1.性腺刺激ホルモン分泌障害
【原因】
脳からの指令を卵巣に伝える仕事をしているのが卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体化ホルモン(LH)です。
もし、中枢神経の異常がおこると、性腺刺激ホルモン分泌障害が起こり、これが排卵障害や無月経を招くことになります。
この異常の原因には、過度のダイエットやストレス、甲状腺機能障害、対抗ガン剤投与などがあります。

【診断】
性腺刺激ホルモン分泌を診断する際には、中枢神経での異常の有無と卵巣の異常の有無をみます。

【治療】
排卵誘発剤を使い、卵胞の発育を促します。最初は、作用が穏やかな飲み薬(セキソビット、クロミッド、フェミロンなど)を使って様子をみます。
それで効果がない場合は、強い効果のあるhGH製剤を注射します。
卵胞ホルモン剤(プレマリン)、高プロラクチン血症の薬(パーロデル、テルロン)などを使うこともあります。

2.卵巣機能低下
【原因】
卵巣の機能が衰えている状態を卵巣機能低下といいます。
多くの場合は生まれつき卵巣にある原始卵胞の数が年齢とともに減ってしまい起こりますが、原因不明のこともあります。
まれに卵巣への自己抗体があったり、染色体異常があったりするために卵巣の機能が衰えることもあります。

【診断】
正しい診断のためには、腹腔鏡検査をし、卵巣の組織を採取して原始卵胞があるかどうかを調べます。

【治療】
排卵誘発剤を使ったり、カウフマン療法を行ったりします。カウフマン療法というのは、卵胞ホルモンと黄体ホルモン剤を使って下垂体を刺激し、排卵を起こす治療法です。

3.多嚢胞性卵巣症候群
【原因】
成熟卵胞になるまで育たず、排卵も起こらないという状態が続き、しだいに卵巣の皮が厚く固くなってしまう状態を多嚢性卵巣症候群(PCOS)といいます。
原因ははっきりわかっていませんが、男性ホルモンや黄体化ホルモンが多いため、卵巣の代謝が悪いのではと考えられています。

【診断】
超音波検査をすると、卵巣内の卵胞が真珠のネックレス状に見えます。

【治療】
排卵誘発剤で卵胞の発育を促します。
最初は作用が穏やかな飲み薬(セキソビッド、クロミッド、フェミロンなど)を使い、それで効果がない場合は卵巣を直接刺激するhMG製剤を注射します。

4.黄体機能不全
【原因】
本来、基礎体温の高温相は10~14日ほど続きますが、9日未満の場合には黄体機能不全を疑います。
脳内の視床下部や下垂体に機能異常が原因で適切な性周期に適切なホルモンを分泌することができません。
また、卵巣の異常で卵胞から黄体にならないこともあります。

【診断】
高温相の日数が短いことからおおよそわかりますが、より詳しく検査をして確定させます。

【治療】
診断の結果、黄体ホルモンが少ない場合、黄体ホルモン剤を投与し治療します。

5.黄体化未破裂細胞
【原因】
卵巣内で卵子が成熟するものの、卵胞が破裂しないので卵子が飛び出せません。
つまり排卵が起こらない状態が生じます。排卵が起こらないまま卵胞が黄体化するため、基礎体温が上昇して二相性になるわけです。
黄体化未破裂卵胞は毎月起こるとは限らず、1カ月おきに正常と未破裂を繰り返すこともあります。

【診断】
基礎体温は二相性になっているのに、検査をすると実際には排卵が起きていないという場合、黄体化未破裂卵胞が疑われます。

【治療】
自然に治ることも多いので、治療は性交のタイミング指導を行いながら様子を見ます。
未破裂卵胞が3ヶ月以上残っていて新しい卵胞の発育をさまたげる場合は、卵胞穿刺術やエタノール注入法を行います。

6.高プロラクチン血症
【原因】
プロラクチンは、母乳の分泌を促したり、排卵を抑制したりするホルモンです。
高プロラクチン血症の原因には色々あります。
例えば、脳の下垂体にできた腫瘍や薬の副作用、強いストレスで起こることがあります。

【診断】
血液中のプロラクチン値をみます。プロラクチン値は、一定ではないので複数回の検査が必要です。

【治療】
基本的には、テンロンやパーロデルといった薬を使い、高プロラクチン状態を改善します。
ただ、もし下垂体の腫瘍が原因で体に違和感がある場合には、脳外科で取り除く手術を行う必要があります。

排卵障害の治療が進めば、いよいよタイミング指導などを取り入れていきます。女性の体の負担がどうしても多くなってしまうので、ご主人は相手の体を気遣ってあげてくださいね。

治療を進めていくにあたって、些細なことがあれば自己判断せず必ず医師に相談しましょう。はるねクリニックでも一人ひとりの体を第一に考え、治療の提案をしています。何かあれば気軽に相談してくださいね。


Posted by 東京 銀座 不妊治療 婦人科 女医|はるねクリニック銀座 / 院長ブログ