不妊治療時の排卵誘発剤における副作用とは?

2018年11月30日

不妊治療をするにあたって、排卵誘発剤という薬を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか?
治療を進めていく上で排卵は必要ですが、この薬について不安に思う方が多いと感じました。
そこで今回は、排卵誘発剤とはなんなのか、副作用はどういうものがあるのかについて詳しくみていきましょう。

排卵誘発剤とは?

排卵誘発剤はその名のとおり、卵巣内の卵子がうまく排卵できるようにサポートする薬です。
排卵誘発剤には、大きく分けて3種類あります。

1.クロミフェンおよびシクロフェニル
脳から放出される黄体化ホルモン(LH)や卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌を促し、卵巣を刺激します。
これらは内服薬で処方され通院回数が少なく、副作用が少ない特徴があります。
ただし多胎妊娠の可能性がやや増加することが報告されています。

2.ゴナドトロピン製剤
注射剤で、脳から分泌される卵胞刺激するホルモンそのものを扱います。
1で紹介したクロフェミンやシクロフェニルが無効な排卵障害に対して利用します。
この注射剤は、強力な排卵誘発効果がありますが、副作用として多胎妊娠の確率が増すことや卵巣刺激症候群(OHSS)などの発生頻度が高いことが報告されています。

ゴナドトロピン製剤は、hMG製剤(閉経後の女性の尿から精製したFSHとLHを含む)やFSH製剤(hMG製剤からLHを取り除いたもの)、遺伝子組み換え型FSH製剤があります。
遺伝子組み換え型FSH製剤は、従来のゴナドトロピンでは連日の通院が必要だったのが在宅での自己注射が可能になったものです。

3.高プロラクチン性排卵障害に使用するドーパミン作動薬
出産後に母乳が出るよう誘発するホルモンをプロラクチンといいます。
このホルモンが産後以外のときに血中濃度が高まると、排卵障害の原因になります。
この症状を高プロラクチン血症と呼びます。この場合、内服薬によって高い確率で排卵させます。

排卵誘発剤で起こることがある卵巣過剰刺激症候群(OHSS)

ゴナドトロピン製剤のときにも出てきた卵巣過剰刺激症候群。
この副作用は具体的にどのような症状なのか、順にお話していきます。
(卵巣過剰刺激症候群について、「赤ちゃんが欲しい人の本」を参照しています。)

薬の刺激で卵巣がはれてしまう
排卵誘発剤の刺激によって卵巣が過剰反応を起こすことがあり、これを卵巣過剰刺激症候群といいます。卵巣がはれたり、腹水や胸水がたまったりするなどの症状が起こります。
ひどい場合はおなかがぱんぱんに膨れ、尿が出ない、息がしづらいこともあります。

たいへんまれなことですが、尿が出なくなるため、血液が濃くなり、腎臓機能障害や肝機能障害が起こることがあります。
また血栓ができて、脳血栓や心筋梗塞を起すことがまれにあります。
ですから、排卵誘発剤は慎重に使わなくてはなりません。
現在では、さまざまなデータから、あらかじめ副作用が出やすい場合は、ある程度予測がつくようになりました。

注射剤を使ったときに注意が必要
排卵誘発剤には飲み薬と注射剤がありますが、卵巣過剰刺激症候群は注射剤で起こることがほとんどです。
発症率は、hMG製剤で約15%の人に起こるとされています。
特に起こりやすいのは多嚢胞性卵巣症候群の人。
卵がたくさんできやすいのでhMG製剤にも反応しやすいようです。
しかしこの場合はあらかじめ予測がつきますので、慎重に投与することによって深刻な副作用を起さないようにできます。

hMG-hCG療法には注意が必要
hMG製剤を単独で使っている場合には、深刻な副作用はまず起こりません。
注意が必要なのは、hMG製剤のあとにhCG製剤を注射する場合です。
これはhMG-hCG療法と呼ばれるものです。
hMG製剤で卵子をたくさん成熟させたあとで、hCG製剤を使って排卵を促します。
副作用が起きやすいのは、hCG製剤を注射してから2~5日後で、卵巣がはれたり、卵巣内の水が腹腔にあふれて腹水がたまったりします。

ただし、超音波検査や血液検査を行っていれば、ひどくなる前にチェックできます。
軽いうちなら、安静にしているだけで治ってしまいます。
ごくまれなことですが、重症化してしまった場合は、入院治療します。
患者側でも気になる症状があるときは、すぐに医師に相談しましょう。

薬の副作用と聞くと不安に感じる方もいるかもしれません。
ですが、いまでは数多くの産婦人科医や医療従事者の努力のおかげで、副作用を未然に防ぐことができつつあります。
薬についての知識はどうしても専門用語が多くて難しいと思うかもれませんが、そんなときこそ私たちに頼ってくださいね。
不妊治療を始めるにあたってストレスや不安は大敵です。
安心して赤ちゃんを迎え入れるためにも、わからないことはどんどん質問しちゃいましょう。

はるねクリニックの場合、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)になりやすい方には、hCG投与をしないでアンタゴニスト法などを考慮することがあります。
治療を受けていく中で、体に少しでも違和感がありましたら、自己判断せずにクリニックへご連絡くださいね。


Posted by 東京 銀座 不妊治療 婦人科 女医|はるねクリニック銀座 / 院長ブログ