不妊治療で行われる体外受精について

2019年3月15日

不妊症の治療法としてすっかり根付いた体外受精
名前は聞いたことがあるけれども、具体的にどんなことをするのかについて知らない人も多いのではないでしょうか。
今回は、体外受精とはどういったものなのか、治療の流れを見てみましょう。

不妊治療を飛躍的に進歩させた体外受精

卵巣から卵子を取り出し、体外で精子と受精させる方法が体外受精です
体外受精の登場により、以前だったら妊娠をあきらめなければならなかった人たちにも妊娠の可能性が大きく広がりました。
現在、日本では年間1万5000人もの赤ちゃんが体外受精で生まれています。
気になる妊娠率ですが、採卵に成功した人で見てみると(うまく卵子を採取できない場合もあるので)、だいたい3人に1人が妊娠にいたると言われています。
つまり、体外受精を3回受けて1回妊娠するかどうかという確率です。

体外受精の流れ

体外受精を成功させるためには、よい卵子がたくさん必要です。
なぜなら、卵子を採取しても、その卵子が受精でき、その後も順調に細胞分裂をして良好胚になる確率は約50%だからです。
そのため、事前に排卵誘発剤を使って卵巣を刺激し、複数の成熟卵胞を育てる必要があります。

1.排卵誘発

排卵までの薬の使い方

1-1.GnRH剤を鼻腔内に噴霧
基礎体温が高温相になった中頃から、採卵の直前まで毎日行います。
GnRH剤には排卵を促す黄体化ホルモンの放出を抑える働きがあります。
これを使うことで、採卵直前まで排卵の調節が可能です。
注射剤を使う場合もあります。
1-2.hMG製剤を注射
月経の3~6日頃から、卵胞が直径18~20mmに成熟するまで毎日行います。
hMG製剤は、卵巣を直接刺激し、一度にたくさんの卵胞を成熟させます。
通常は上腕に注射しますが、毎日通院することができない場合は、わき腹などに自己注射します。
1-3.hCG製剤を注射
卵胞が直径18~20mmになったころを目安に行います。
hCG製剤は、排卵を促す薬です。hMG製剤の注射開始から7~10日過ぎたあたりに超音波で卵胞の大きさを測り、直径18~20mm以上になっていたらhCG製剤を注射します。
1-4.採卵
hCG製剤を注射後、34時間を過ぎたころを目安に行います。
成熟した卵胞が破裂する前に、卵巣から卵胞を採取します。

2.採卵、採精

卵胞が十分に成熟したら、超音波で卵胞の位置を確認しながら採卵を行います。
個人差はありますが、平均10個ほどの卵子が採取できます。
一方、夫は採精室で精液を採取します。精液は洗浄・濃縮などの処理をし、元気の良い精子だけを選び出します。

2-1.卵子を採取
2-1-1.麻酔をかけ、卵胞を採取する
採卵針を膣からいれ卵巣に刺し、さらに一つひとつの卵胞に刺して卵胞液を吸引します。
2-1-2.採卵後は回復室で過ごす
採卵は10分ほどで終了します。その後、麻酔が切れるまで回復室で安静に過ごします。

2-2.精子を採取
2-2-1.採精室で精液を採取する
精液は、採精室でマスターベーションすることによって採取します。
その後、精液は培養士によって洗浄・濃縮などの処理をされ、運動性がよい精子だけが選ばれます。

3.受精

シャーレの中で数時間培養し、より成熟度が高くなった卵子の上に状態のよい精子をふりかけます(媒精)。
これを培養器の中に入れ、受精卵ができるのを待ちます。クリーンベンチ・培養室で卵子と精子を処理します。
卵子と精子は、培養室で体外受精や顕微授精などを行うための高度な技術を持っている専門家である「エンブリオロジスト」の手によって処理されます。

4.培養

18時間後に培養器からシャーレをとり出し、受精しているかどうかを顕微鏡で確認します。
そして、受精していたら再び培養器へ戻し、培養を続けます。
受精卵は細胞分裂を続け、2日目には4分割胚、3日目には8分割胚となります。
受精卵を培養器の中で培養します。
卵管や子宮と同じような環境に設定されている培養液の中で、受精卵は細胞分裂を続けます。

5.胚移植

受精卵は4分割胚もしくは8分割胚になったところで、子宮に戻します。これを胚移植といいます。
着床率を上げるため、胚盤胞という状態まで分割させてから戻すこともあります。
またアシステッドハッチングという方法も行われています。
アシステッドハッチングとは、胚盤胞周りの透明帯を薬で溶かしたり、一部けずったりして中の胚盤胞が出やすくなった状態で子宮に戻す方法です。
多胎妊娠を避けるため、子宮に戻す受精卵の数は1~3個。最近は1~2個が多くなっています。

分割した受精卵を子宮へ戻すには、受精卵をシリコンカテーテル(細いチューブ)で吸引し、それを膣から子宮の中に入れます。
その後、超音波で確認しながら、子宮内膜の上に受精卵を置きます。
受精卵が子宮内膜に根を張り、着床すれば妊娠にいたります。

6.妊娠判定

胚移植から14日後に妊娠判定を行います。
尿検査で妊娠反応が出れば、妊娠が確定です。
これ以降は、自然妊娠と同じ経過をたどります。

体外受精について理解して治療に進む

はるねクリニックでは、高度生殖医療を受けるために不妊治療セミナーへの参加や体外受精-胚移植法の同意書、ご夫婦の1年以内の感染症検査結果が必要になります。
またご状況によっては、別途当院の同意書についてお話ししています。
体外受精を受ける状況は一人ひとり違うので、どんな些細なことでも悩みを抱えず私たちに相談してくださいね。


Posted by 東京 銀座 不妊治療 婦人科 女医|はるねクリニック銀座 / 院長ブログ