不妊治療でよく使われる6種の薬

2019年3月29日

「これを飲めば赤ちゃんができる」というような魔法の薬ではありません。
ですが、からだを妊娠しやすい状態に持っていくための薬はたくさんあります。
薬と聞いて不安に感じる方も多いかと思いますので、今回は不妊治療で取り扱う薬について1つずつお話ししていきます。

薬の目的を理解して、納得して治療を受けよう

不妊治療のゴールは、妊娠・出産です。そのためには、排卵から着床までのプロセスがスムーズに進むようにさまざまな手段が駆使されます。そのひとつが薬です。
排卵がうまくいくように使う薬、子宮内膜の状態がよくなるように使う薬、体外受精のときに排卵をコントロールする薬など、たくさんの種類の薬があります。
自分がいまどんな治療をしていて、そのためにどういう目的をもった薬を使っているのかを知ることは、納得して治療を受けるために重要なことです。
不妊治療には大きく分けて、6つの薬を使用していきます。

1.卵胞を育てたり、排卵を促したりする排卵誘発剤

無排卵や、排卵がうまくいかないなどの排卵障害には、排卵誘発剤を使います。飲み薬と注射剤があります。最初は作用が穏やかな飲み薬を使い、効果があらわれない場合に強い作用効果のある注射剤を使います。また、人工授精や体外受精などを行う際にも使われます。これは、一度にたくさんの卵胞を育てて妊娠率を上げるためです。

脳の下垂体に働きかける飲み薬:クロミッド、セキソビット、フェマーラ
直接、卵巣を刺激する注射剤:フォリスチム、ゴナールF、コーナーピュール、フォリルモンP、HMGフジ、HMGフェリングなど
直接、卵胞を刺激し排卵させる注射剤:オビドレルHCG

2.子宮内膜を整える卵胞ホルモン剤

卵胞ホルモン(エストロゲン)によって、子宮内膜は受精卵が着床しやすい状態になります。
卵胞ホルモンの分泌が不足している場合、補充のために使うのが、卵胞ホルモン剤です。
飲み薬のほか、貼り薬もあります。
下腹部や腰(卵巣のあたり)に貼り、皮膚から成分を吸収させます。ゼリー状塗布剤は、両腕か大腿に塗布します。

飲み薬:プレマリン、ジュリナ
貼り薬:エストラーナ
塗布薬:ル・エストロジェル、ディビゲル

3.着床率アップと妊娠継続に欠かせない黄体ホルモン剤

黄体ホルモン(プロゲステロン)は、受精卵の着床や妊娠の継続に欠かせないホルモンです。
この黄体ホルモンの分泌が十分でない場合、補充のためにつかうのが、黄体ホルモン剤です。
また体外受精などでは、排卵誘発のために黄体化ホルモンの分泌を抑える薬が使われるのですが、そのままでは着床がうまくいかないので、あとから黄体ホルモン剤を補充します。
飲み薬のほか、注射剤や膣坐薬があります。
注射剤は薬によって作用の持続時間が違い、状態によって使い分けます。膣坐薬は膣から成分を吸収させるものです。

飲み薬:プロベラ、ルトラール、デュファストン
注射剤:プロゲホルモン、プロゲステンデポ−S、ルテスデポー
膣坐薬:プロゲステロン膣坐薬(日本では4種類取り扱いあり:ルティナス、ウトロゲスタン、ワンクリノン、ルテウム)

4.卵巣を休憩させる卵胞・黄体ホルモン配合剤

低用量ピルが登場する以前は、避妊薬として使われていた薬です。
卵胞ホルモンと黄体ホルモンを補充する薬で、この薬を月経の2~3周期にわたって使うことで無排卵状態をつくります。
卵巣に負担をかけていたことで、卵胞の状態が安定しないことがあるため、卵巣を休ませてあげるのも治療法のひとつで行います。
結果として卵巣を一時的に休ませることで、薬をやめたときにいい状態の卵胞ができる可能性を高めます。

飲み薬: プラノバール、ソフィアA配合錠、ルラジオン

5.排卵をコントロールするGnRH(LHサージ抑制剤)

GnRH剤はもともと子宮内膜症の治療薬です。薬で閉経状態をつくり、月経のたびに悪化する子宮内膜症の病巣を消滅させる目的で使われています。
それとは別に、LH(黄体ホルモン)を抑えて排卵が起こらないようにする動きが注目され、体外受精などで排卵をコントロールしたいときに使われるようになりました。
点鼻薬と注射剤があり、状況によって使い分けます。
2006年9月にセトロタイドは日本で発売された薬ですが、評価が高かったため発売以前は各病院で輸入して使っていました。

点鼻剤:ナサニール、スプレキュア、ブセレキュア
注射剤:リュープリン、セトロタイド

6.流産を防止する副腎皮質ホルモン剤

せっかく妊娠しても流産を繰り返す不育症の人の流産防止に使われます。抗核抗体などの抗体を抑える働きもあります。
また人によっては、多嚢胞性卵巣症候群(排卵障害のひとつ。卵胞が育ちづらい症状。)で男性ホルモンがやや高い場合に男性ホルモンを抑制するために使用されます。

飲み薬:プレドニン

副作用についてもきちんと知っておこう

大切なことは、どのような副作用が起こる可能性があるのかを知り、服用中に気になることがあったらすみやかに医師に相談することです。
処方時には薬についての説明をよく聞き、薬の説明書をもらったら必ず目を通しましょう。
もし、処方された薬を服用して体調が悪くなったり、気分が悪くなったりしたらすぐにかかりつけのお医者さんへ相談しましょう。
はるねクリニックでは、不妊治療に関する相談の窓口を設けています。
不妊治療はしっかり体と向き合って進めていくものなので、どんな些細な不安でも私たちに打ち明けてくださいね。


Posted by 東京 銀座 不妊治療 婦人科 女医|はるねクリニック銀座 / 院長ブログ