不妊の原因になる病気「高プロラクチン血症」とは?

2019年7月31日

ある特定の病気が関係して妊娠しづらくなっていることがあります。
その内のひとつが、高プロラクチン血症です。
妊娠・出産していなくても胸が張ったり、乳汁が出てしまったりする症状が特徴的です。
高プロラクチン血症について解説していきます。

プロラクチンとは?

乳汁分泌ホルモン(プロラクチン)は、脳下垂体から分泌されるホルモンで、乳腺を刺激して母乳の分泌を促進する働きがあります。
出産をしていないときでも微量ではありますが、分泌されています。
出産後はこのホルモンがさかんに分泌され、母乳が出るようになるのです。

高プロラクチン血症とは?

妊娠も出産もしていないときにプロラクチンが過剰に分泌されることがあり、これを高プロラクチン血症といいます。
症状としては、乳汁の分泌があったり、胸が張ったり、排卵が抑制されてしまったりします。

プロラクチンの過剰分泌により生理や排卵が抑制される

出産後に母乳がさかんに出ている間は、生理は起こりづらくなります。
これは、プロラクチンに生理や排卵を抑える働きがあるからです(自然避妊法)。
そのため、高プロラクチン血症になると生理がなくなったり、排卵がなくなったりします。
受精卵の着床にも影響があるとされています。

血液中のプロラクチン値を調べて診断する

診断は血液中のプロラクチン値を調べます。
プロラクチン値は一定ではなく、検査のたびに変動するものなので、何回か検査をした上で診断することもあります。

ときに、潜在性高プロラクチン血症といって、ふだんのプロラクチン値は正常なのに、夜間やストレスの大きいとき、黄体期などに、プロラクチン値が高くなる人がいます。
そのような場合を想定し、TRH試験(TRH:甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)というホルモン負荷試験を行うこともあります。

TRH試験の検査方法は、採血をしたあとに生理食塩水で希釈したTRHを静脈注射します。
注射してから、当院では30分後に採血を行いプロラクチンの数値を測定します。
診断方法は、最初に採血したプロラクチン値が正常で、TRHを負荷したプロラクチン値が70ng/ml以上のものを潜在性高プロラクチン血症と診断します。

プロラクチン値が高くなる原因はいろいろある

高プロラクチン血症の原因はいくつかあります。
脳の下垂体にできた腫瘍(良性)や、強いストレス、ある種の薬(抗うつ剤や胃潰瘍治療薬)の副作用によってドーパミン(脳内でプロラクチン分泌を抑えるホルモン)の分泌が減り、プロラクチンの歯止めが利かず分泌量が増えてしまうことがあります。
また、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH、甲状腺に対してホルモン分泌の指示を出すための脳内ホルモン。
甲状腺だけでなくプロラクチンの分泌促進にも関わります。)が増え、プロラクチンの分泌が増える甲状腺機能低下症もあります。
しかし、もっとも多いのは原因不明の場合です。

治療は、基本的にカバサールやテルロン(テルグリド製剤)、パーロデルといった薬を使い、高プロラクチン状態を改善します。
ただし、下垂体の腫瘍が大きかったり、頭痛や目がぼやけたりするなどの症状が出ているのであれば、脳外科の手術で腫瘍をとり除く必要があります。
また、薬の副作用で高プロラクチン状態になっている場合は、薬の服用をやめれば状態は改善します。
しかし自己判断ではなく、必ず医師に相談してください。

治療方針

1.薬剤服用によるもの
医師と相談の上で該当薬を中止する。もしも中止できない場合は、十分な情報を患者さんが得た上での合意をとる。
2.原発性甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモン剤を投与。
3.視床下部・下垂体病変
機能性:カバサール、テルロン(テルグリド製剤)、パーロデルを投与。 ※外科的処置を必要としない場合に限る
器質性:視床下部・下垂体病変、下垂体、他のホルモン産生腺腫

気になる症状がでたら医師に相談してください

高プロラクチン血症に当てはまる「下垂体性プロラクチン分泌亢進症(プロラクチノーマ)」は指定難病であり、1998年に厚生労働省が調査したところ受療患者数が12,400名でした。
男女比でみると1:3.6と女性に多い傾向があります。
不妊治療に取り組むにあたって、ご自身の身体について知ることは大きな意義があります。
少しでも気になる症状が出た際には、いつでもお気軽にお電話でご相談ください。


Posted by 東京 銀座 不妊治療 婦人科 女医|はるねクリニック銀座 / 院長ブログ