もしかして不育症かも?繰り返してしまう流産への治療とは

2019年2月28日

不妊治療に取り組むにあたってせっかく妊娠しても、お腹の中で赤ちゃんが育たずに流産を繰り返す場合があります。
原因不明のことも多いのですが、徐々に原因についての解明が進みつつあります。
治療期間中は、とてもストレスや不安が多くなるので、必ず一人で抱え込まずに相談してください。
場合によっては、「不育症」という赤ちゃんができづらい症状の可能性があります。
「不育症」という言葉をあまり耳にした事がない方もいると思いますので、どういったものなのかお伝えしていきます。

3回続けて流産などを繰り返す場合を不育症という

流産を3回以上繰り返す場合を、習慣性流産といいます。
不育症とは、習慣性流産のほか、早・死産も含め、こうした事態を3回以上繰り返す場合をいいます。
実際には初期流産のケースが多いので、不育症イコール習慣性流産ととらえてよいでしょう。

そもそも初期流産の確率は10~15%もあるといわれ、そのほとんどは自然淘汰によるものです。
残念なことですが、流産そのものは比較的よくあることと言えます。
しかし、それが3度も繰り返すようだと、何か原因があるのではと疑わざるをえません。
2度繰り返した時点で、病院を訪れる人も多いようです。習慣性流産の原因は、実にさまざまあります。

習慣性流産の主な原因と治療

1.子宮の形状異常

子宮奇形(双角子宮など)子宮筋腫(粘膜下筋腫)が原因している場合があります。
子宮頸管無力症といって子宮頸管がゆるいために流産が起こることもあります。
治療としては、問題が生じている場所や程度を見極め、必要に応じて手術します。
子宮頸管無力症は、子宮頸管を縛る処置です。

2.ホルモンの異常

高プロラクチン血症や黄体機能不全、甲状腺機能低下症などのホルモンの異常があると、流産を起こしやすいです。
それぞれの原因に応じて、ホルモンを補充したり、調整したりする薬を使います。

3.内科の病気

糖尿病、膠原病、血液凝固障害など、内科の病気があり、流産しやすくなっている場合も考えられます。
まずは内科の治療が必要です。

4.感染症

クラミジアなどの性感染症や、肝炎などが流産の原因になっている場合もあります。
夫婦ふたりで検査を受け、もし感染症が見つかったら抗生物質などを使ってその治療に当たります。

5.夫婦の染色体異常

親が「内因」している染色体の異常により、流産することもあります。
残念ながら現時点で、根本的な治療法はありません。
何度か流産するうちに、確率的に無事出産にいたる可能性もあります。

6.免疫学的なもの

同種免疫異常自己免疫異常があると、流産してしまいます。
薬で免疫反応を抑えたり、免疫反応で起こる症状を改善したりします。

最近では、6の免疫学的なものに関する解明が進みつつあります。
5の夫婦の染色体異常と6の免疫学的なものは、耳慣れないものだと思いますので、以下に詳しく説明します。

「夫婦の染色体異常」とは、検査でようやくわかる程度の異常だが、流産を招く

流産を繰り返している夫婦の染色体検査をすると、夫婦ふたり又はどちらかに転座型と呼ばれる染色体の異常が発見されることが多いため、この染色体異常が胎児に遺伝して、流産を起こすと考えられています。

染色体異常というと驚くかもしれませんが、ここでいう転座型の染色体異常とは、それを保因しているだけではなんの症状もなく、問題のないものです。
ただ、卵子や精子に「保因」か「異常」か「正常」という形で伝わり、「異常」が伝わった卵子や精子が受精卵になると流産してしまうわけです。

ですから、これを治療することはできません。
しかし、必ず「異常」が出るわけではありませんので、何度か流産を繰り返しているうちに無事に出産までいたる可能性はあります。
流産率などを考慮したカウンセリングを受けながら、妊娠にトライできます。

「免疫学的なもの」とは、からだの中で妊娠をじゃまする抗体ができている状態

●同種免疫異常

白血球における血液型のようなものをHLAといいます。
からだには、自分とは違うHLAのものを異物と認識して排除しようとする働きがあります。

お腹の赤ちゃんは父親の遺伝子も受け継いでいるので、母親にとって赤ちゃんは異物です。
しかし、妊娠という特別な状況では、ある種の抗種抗体(遮断抗体)が働いて、赤ちゃんを異物として拒絶しないようになっています。

ところが、なんらかの原因によって遮断抗体の働きが低下してしまうと、赤ちゃんは異物とみなされ、流産が起こってしまうのです。

診断には、血液型やHLAのタイプ、不規則抗体、夫婦のリンパ球の相性など、免疫学検査を行います。

治療法としては、リンパ療法があります。
これは、低下している遮断抗体を活性化させようというもので、夫の血液から採取したリンパ球を妻に注射します。
妊娠前は2週間おきに数回、また妊娠が確認されたら妊娠初期に追加の注射を行います。
しかし現在は未解決の治療法です。

計画的な妊娠がだいじなので、タイミング指導を受けながら、妊娠にトライすることになります。

●自己免疫異常

自己免疫異常とは、自分で自分のからだのある部分を攻撃する抗体をつくってしまうことをいいます。
そういう抗体はいくつかあるのですが、なかでも抗リン脂質抗体という抗体は、細胞膜を構成するリン脂質という成分を攻撃する抗体です。
これがつくられてしまうと、血液凝固のバランスが崩れ、血栓ができやすくなります。
そのため、胎盤の中に血栓ができたり、血流が悪くなってしまったりして流産や早産を招きます。

血液検査で抗リン脂質抗体や血液凝固検査などを行なって診断します。
治療は、血栓をつくりにくくする薬(アスピリン、ヘパリンなど)や、抗体をつくりにくくする薬(柴苓湯)を投与します。

以前までは、不育症と聞くと定まった治療方法がありませんでした。
最近の医療の進歩により、徐々にではありますが「不育症」に関する知識や研究が増えてきたこともあり、今回ご紹介した治療方法をお伝えできるようになりました。

ですが、まだまだ解明が必要なことがあるため、最新情報が入り次第、皆さんにお話しできればと思います。
何度も繰り返してしまう流産は心身ともに辛いことです。
一人で悩まず、当院の生殖カウンセラー(第1、2、3土曜日)や漢方薬剤師などに悩みを打ち明けてくださいね。


Posted by 東京 銀座 不妊治療 婦人科 女医|はるねクリニック銀座 / 院長ブログ